歳をとるのが怖い
- 作者: 村田沙耶香
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/10
- メディア: 単行本
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そこには仕事もできなくて、美人でもなさそうな等身大の女の子が描かれているから。
この物語を知り合いの男の子はよんで「少し気持ち悪い」といった。
そうだ、この物語に出てくる主人公は気持ち悪い。
- コンビニの簡単なアルバイトができない。
- いじめられっこ
- トロい
- オナニー女
- 自分を安売りする
- チラシの男性モデルの目をくりぬいて押し入れに貼る。
その中に入って眺める。自慰する。
でも、私はそこが好き。
女の子の気持ち悪い部分をちゃんと描いているところが。
この小説を読むと、自分のバイト時代を思い出す。
大学生のとき初めてバイトをしたときのこと。
あのバイトで初めて自分がデキナイ人間であることを実感した。
ハンバーガー屋さんのバイトだった。
皿洗い、接客、調理、レジ打ち何をしても一人前にできなかった。
全部ミスばっかり。
お客さんや店長をいつもイラつかせた。
私は同時に二つのことができなかった。
すぐぼうっとして、意識がどっか行くのでお客さんの注文が正しく聞けなかった。
ミスをせずしかも手早く仕事をすることができなかった。
バイト仲間と打ち解けられなかった。
私よりあとにはいった新人何人にも仕事で追い抜かれていった。
クビにならないのは私ができるバイトじゃなくてただ
人手不足なだけをしっていた。
1年間一生懸命頑張り続けたのに、一切何も上達しなかった。
ずっと、新人と同じレベルだった。
そんなときだった。
店長があの言葉をいったのは。
よく覚えていないけど、またなにか私が失敗したときのことだ。
「まあ、女の子は結婚すればいいからねえ」
フォローしたつもりでいったのだと思う。
悪気がないし、腹も立っていない。
ただ絶望した。
ああそうか、私はずっとここにいちゃいけないんだって。
仕事のできない女は年をとる前に結婚しないとどこにも居場所はないんだって。
その時の自分は今よりもさらに醜形恐怖がひどかったから、
結婚とか恋人とか絶対無理だと思ってた。
となると、一生独身でいるわけだから自分で働かなくちゃいけない。
でも、私は仕事もろくにできない。
そんな自分をずっとうけいれてくれる場所はないんだとおもった。
今でも思う。
私の働いていたところでは、年をとった女性はパートしかいなかった。
この前資格を取りに行った介護現場でもパートが多いときいた。
年をとっていて独身でキャリアウーマン(いわゆる仕事が生きがいのひと)
でもないひとはいったいどこで暮らしているのだろう。
どこが居場所なのだろう。
私は歳をとるのが怖い